TOPへ

社交不安障害(SAD)

社交不安障害とは

社交不安障害とはたくさんの人の前でしゃべる、発表をしたりする時には、誰でも多少の緊張や不安があります。
「社交不安障害」は、その緊張や不安の程度が重く、身体の震えや動悸、発汗、どもる、赤面する、頭が真っ白になるといった症状を伴う病気です。不安障害の1つとされています。
国内での発症率は、0.8%程度と言われています。

発症する年代

10代での発症が目立ちます。10歳以下の子ども、20代前半でも発症しますが、25歳以上となると稀です。
大きなストレス・失敗・恥ずかしさなどをきっかけに突然発症することもあれば、徐々にその程度が強くなっていくこともあります。

社交不安障害の
セルフチェック

以下のセルフチェック項目で、2つ以上に当てはまる場合には、社交不安障害の可能性があります。特に、辛さを感じていたり、日常生活に支障が出ている場合には、お早めに受診することをおすすめします。

  • 人前に出てしゃべる・発表する時に、強い緊張や不安を感じることがある
  • 人前に出る前や前の日から、失敗したらどうしよう、恥ずかしい思いをするかもしれないという強い心配がある
  • いくら準備を万端にしても、緊張や不安、心配が減らない
  • まわりの人も緊張や不安があるのは分かっているが、自分の場合はその程度が普通ではないと感じる
  • 普段から、緊張や不安を抱きそうな場面、状況を避けようとしている(指名をされそうな時に隠れる・休むなど)
  • 緊張や不安がこわく、仕事・学校・家庭での生活がうまくいかないと思うことがある
  • 家族、親友など、ごく限られた人以外と接することに苦手意識がある

社交不安障害の症状

社交不安障害の症状には、以下のようなものがあります。

赤面してしまう

緊張した時に顔や耳が赤くなること自体はおかしなことではありませんが、その程度がひどく、自分でも驚くほど真っ赤になってしまうことがあります。

手足や声が震える

緊張や不安によって筋肉に力が入ることから、手足、声が震えることがあります。そうした震えは自分でも気づくため、さらに緊張や不安が強くなる原因になります。

動悸がする

動悸も、緊張した時などに誰にでも起こり得る現象です。ただ、社交不安障害の人は心臓が飛び出るくらい、全身に響くくらいにドキドキと動悸がします。

汗をかく

顔、首、手、腋などに、普通では考えられないくらいの汗をかきます。じっとりとにじむといった程度ではなく、滝のように流れ、シャツや持っている書類を濡らしてしまいます。

頭が真っ白になる

緊張や不安、またここまでご紹介した症状によって、頭が真っ白になって何も考えられなくなることがあります。こうなると、普通にしゃべること、発表がうまくいくということは難しく、次の機会に対してさらに不安が強くなります(予期不安)。

原因

社会不安障害の原因社交不安障害の原因については、まだはっきりしたことが分かっていません。
ただ、脳内の不安にかかわる回路が過剰に反応することで、症状が引き起こされているものと考えられます。そしてそれは、神経伝達物質であるセロトニンのバランスの乱れが関係していると言われています。
その他、過去の人前でのひどく恥ずかしい経験、真面目・完璧主義・人見知りの性格、遺伝的要因などの関与も、社交不安障害の発症に影響するものとされています。

なりやすい人・性格

指摘されている原因などから、以下のような人は、そうでない人と比べると社交不安障害になりやすいと言えるかもしれません。

  • 過去に人前でひどく恥ずかしい経験をしたことがある
  • 真面目、完璧主義、人見知りの傾向がある
  • 会話や発表が苦手だという思い込みがある

社交不安障害の検査と診断

どのような場面でどのような症状が現れるか、その場面の前後の症状の有無、どのような支障が出ているかなど、問診・診察で丁寧に確認します。
その上で、ICD-10、DSM-Vなどの分類をもとに診断します。

治し方

社交不安障害は、適切な治療を行うことで改善が可能です。
主に、薬物療法や心理療法を行います。当院では、お薬に頼り過ぎない治療を大切にしています。

薬物療法

副作用の少ないSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)、セロトニンやノルアドレナリンの調整をしてくれるSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)などの抗うつ薬、抗不安薬を処方します。
症状が軽くなった場合も、ご自身の判断で内服を中止したり、減薬をしたりといったことはせず、医師の指示を守って使用してください。

心理療法

心理療法の中でも、主に認知行動療法を行います。
「自分はしゃべったり発表したりするのが下手」「顔が赤くなったり、どもったりしたらどうしよう」といったネガティブな考え・不安を明確化し、その上で矯正を図るという方法をとります。
よく考えてみればそれほど下手ではない、うまくやれば赤面や吃音もない、たとえ症状が出たとしても恥ずかしがることじゃない、といったように認識を改めることで、会話や発表の成功、また症状が現れなくなることが期待できます。
なお当院では、医師の指導のもと、臨床心理士による自費の心理カウンセリングも行っております。必要・ご希望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。